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神生みの始まり
さて、イザナギとイザナミの国生みによって、この世界には、立派な大陸が出来ました。そして、今度は、本格的な神々を生み落とす、「神生み」のシーンに突入します。その数は、実に、膨大で、とにかく、登場する神々の名は多く、非常に分かりにくい部分もあるかと思いますが、私たちの生活において、とても重要な神々が登場するシーンでもありますので、少しずつでも良いので、確認してみて下さい。
先ず、最初に、大事忍男神(オホコトオシヲ)が生まれます。これは、『大事を耐え忍び達成した』といういわゆる『大仕事を終えた結び』を意味するという指摘が多く、本来は、もっと後に登場すべきところを誤ってここに入れてしまったと解釈する方が多いようです。そのため、非常に分かりにくい神さまなのですが、一部には、こちらオホコトオシヲと次に現れる家宅六神(かたくろくしん)を以て、国生みで生まれた島々を固める神々とみる指摘もあります。

そんな家宅六神は、石土毘古神(イハツチビコ)を筆頭に、石巣比売神(イハスヒメ)大戸日別神(オホトヒワケ)天之吹男神(アメノフキヲ)大屋毘古神(オホヤビコ)風木津別之忍男神(カザモツワケノオシヲ)の6柱の神々を指します。

[1・2]イハツチビコとイハスヒメ:一対の神で家屋の材料となる『石』や『土、土砂』を司る神。
[3]オホトヒワケ:『家屋の出入り口』あるいは『門』を司る神。
[4]アメノフキヲ:『天が吹く』から転じて、『屋根を葺く動作』を司る神。
[5]オホヤビコ:『屋根』そのものを司る神。
[6]カザモツワケノオシヲ:家屋における『防風からの守護』を司る神。

このように、家宅六神は、家屋あるいは、自然災害から家屋を守る神々を意味し、まるで更地から家が立つという建築の流れを見ているかのような面白い構成を取っています。

続いて生まれる7柱の神々は、自然そのものを司る、よりダイナミックな神々で、大綿津見神(オホワダツミ)を筆頭に、速秋津日子神(ハヤアキツヒコ)速秋津比売神(ハヤアキツヒメ)志那都比古神(シナツヒコ)久久能智神(ククノチ)大山津見神(オオヤマツミ)鹿屋野比売神(カヤノヒメ)という神々がこれにあたります。

[1]オホワダツミ:『海』や『海原』を司る神。
[2・3]ハヤアキツヒコとハヤアキツヒメ:一対で『港』あるいは『河口』を司る神。
[4]シナツヒコ:『風』を司る神。
[5]ククノチ:『木』や『茎』を司る神。
[6]オオヤマツミ:『山』を司る神。
[7]カヤノヒメ:『草』を司る神。

後に登場する、底津綿津見神(ソコワタツミ)、中津綿津見神(ナカワタツミ)、上津綿津見神(カミワタツミ)の総称も綿津見神(ワダツミ)と呼び、オホワダツミと非常に似ているのですが、その具体的な関係性は分かりません。

また、ハヤアキツヒコとハヤアキツヒメは、総称して、水戸神(ミナトノカミ)とも呼ばれ、『河口』は水の流れを呼ぶことから、瀬織津比売(セオリツヒメ)、気吹戸主(イブキドヌシ)、速佐須良比売(ハヤサスラヒメ)の総称、祓戸四柱大神、略して、祓戸大神(ハラエドノオオカミ)と同様、『ケガレを祓う神さま』に例えられることもあります。

シナツヒコは、元寇の際に神風を起こしたと言われ、オオヤマツミとカヤノヒメは性質は異なりますが、一対の組み合わせを取り、ハヤアキツヒコとハヤアキツヒメの対と共に、それぞれ四対八神の神々を産み落としていくことになります。

ちなみに、オオヤマツミに関しては、この後も度々、ストーリーに登場し続ける重要度の高い神さまで、『山の神の総元締』とされています。ただ、別称として、和多志大神(ワタシ)の名を持ち、「わた」が海を表すことから、海神としての性質も持ち合わせているのではないかとも言われており、最初に生まれたオホワダツミとの関係も気になるところではあります。

一部には、オオヤマツミを金運の神として祀るケースもありますが、これは、山の幸、海の幸といった自然から採取できる恵み(贅沢品)を統括している点で豊かさを示す金運と結びつけられていると考えることもできます。

こうして、自然を司る神々は一旦終了します。そして、最後に、人類の英知へとつながる神々が3柱誕生します。最初に登場するのは、鳥之石楠船神(トリノイハクスブネ)という、『神が乗る舟の名』を司る神です。別名、天鳥船(アメノトリフネ)とされ、建御雷之男神(タケミカヅチ)が出雲の地に国譲りのために降臨する際にも登場しています。そして、大宜都比売神(オオゲツヒメ)は、五穀登場の話にも登場する『穀物』の神で、最後に、『』を司る神、火之迦具土神(ヒノカグツチ)を迎えます。

ある意味、この最後に登場する「船」「稲」「火」という組み合わせは、人類の発展を劇的に変化させたものとして非常に重要なことを伝えているような気もします。ただ、最後のヒノカグツチが『火』という性質を持っていることが、結果としてイザナギとイザナミを大いなる悲劇へいざなうことになります。
ヒノカグツチの悲劇
イザナミは、火の神、ヒノカグツチを生むと、陰部に大やけどを負い、病床で苦しみます。その時の嘔吐物、糞尿からも6柱の神々が生まれました。これら神々は、私たち人間が生きて行く上で、最も重要な産業を司る神々となりました。金山毘古神(カナヤマビコ)金山毘売神(カナヤマビメ)は『鉱山』を司る神で、鉱業や金属加工の神とされ、イザナミの嘔吐物から生まれます。続く、波邇夜須毘古神(ハニヤスビコ)波邇夜須毘売神(ハニヤスビメ)は、イザナミの大便から生まれ、『』を司る神とされています。
榛名神社(はるなじんじゃ):群馬県高崎市榛名山町849
榛名神社は、群馬県の 榛名神社を総本社とする神社で、火之迦具土神と埴山彦神(ハニヤマヒコ)や埴山姫神(ハニヤマヒメ)を祀る神社で有名です。そして、ここの埴山彦神と埴山姫神が、波邇夜須毘古神と波邇夜須毘売神と同格とされています。
そして、これまでの2組は、両神とも同じ性質の神々が男女に分かれて誕生してきました。しかし、最後の一対の神々は、他と少々異なり、男女一対としながらも、その性質は、それぞれ異なります。彌都波能売神(ミツハノメ)は、『』を司る代表的な神となります。それに対し、和久産巣日神(ワクムビ)は、『穀物や養蚕』を司る神とされており、『成長を促進する、形作る、生成』の神となります。

そして、この両神から生まれる神は、豊宇気毘売神(トヨウケビメ)と言い、伊勢の下宮こと、豊受大神宮に祀られる食物神になります。これらは、後のエピソードでも強く語られますが、こうした糞尿や汚物が、自然の恵みとして、新たな生命を司ることを伝える非常に重要な場面のひとつとなります。しかし、こうして、悶え苦しんだイザナミは残念なことに、ここで亡くなってしまうのです。
ひとまず、イザナギは、亡き妻の遺体を比婆山(ひばやま)に埋葬します。しかし、イザナミを失ったイザナギの悲しみは深く、その怒りの矛先は、イザナミが亡くなる直接的要因となったヒノカグツチに向けられてしまいます。そして、ヒノカグツチは、あろうことか、実の父であるイザナギに斬り殺されてしまうのです。

この時、使った十拳剣(とかのつるぎ)から飛び散るカグツチの血から、そして、カグツチの遺体の各部それぞれから16柱の神々が誕生します。

特に、その飛散した血液から生まれた神々は、今後のストーリーを占う上でも非常に重要な神様も含まれます。

まず最初に、石折神(イハサク)根折神(ネサク)が、一対の神として生まれ、『岩根さえも裂く剣の威力』を司ります。続く、石筒之男神(イワツツノヲ)は、『剣を鍛える槌』を司り、甕速日神(ミカハヤヒ)は、そのまま『』の神を継承します。

そして、闇淤加美神(クラオカミ)闇御津羽神(クラミツハ)は、一対として、闇は谷を示すことから『谷合いの水』、または、『井戸』を司るとされました。
また、淤加美(オカミ)は龗とも書き、一部、これは、龍を意味する古語とも言われ、谷の水を司る竜蛇神であるという説もあります。そして、これが「日本書紀」でいう、高龗神(タカオカミ)と同一とされ、ミズハノメと同じく、水の神を司る神さまとして、非常に有名な神様となります。ちなみに、貴船神社で祀られる高龗神も同様の存在となります。

そして、最後に、この中で最も有名な神様となる建御雷之男神(タケミカヅチ)が誕生します。タケミカヅチは武神として非常に有名で、『刀剣』を司る神とされます。もちろん、これらの神々は、本来、ヒノカグツチの肉体から生じたため、その親はヒノカグツチと言いたいところですが、別の見方をすれば、これらの神々は、ヒノカグツチを斬った十拳剣から生まれたとも言え、十拳剣の精霊神となる天尾羽張(アメノヲハバリ)が、後に、タケミカヅチの父神として登場するので、このあたりの解釈は少し分かりにくいところです。

こうしてヒノカグツチの体からは様々な神々が誕生するのですが、ヒノカグツチの血から生まれた神々は、どちらかと言うと、戦ごとにまつわる神々が多く、残るは、いずれも山に関わる神々が多いような気がします。

一説には、「剣の鋳造自体が、山中で行われていた」ためとも指摘されますが、そう考えるとヒノカグツチの悲劇は、人類が火と出会ったことによる進化の歴史(産業発展の希望の光)と軍事力を持つことになった、力の闇の部分という矛盾を表現しているような気がしないでもありません。しかし、結局のところ、ヒノカグツチを斬ったところで、イザナミが帰って来るはずもなく、悲嘆に暮れるイザナギは、イザナミに会いに、死者の国である、黄泉の国に向かうことを決意するのでした。
久米神社(くめじんじゃ):島根県安来市伯太町横屋844-1
久米神社は、伊邪那美神の御陵だと伝えられています。そのため、久米神社が鎮座する山も、伊邪那美神が埋葬された山と同じく、比婆山とされ、今も比婆山と呼ばれています。
花窟神社(はなのいわやじんじゃ):三重県熊野市有馬町上地130
花窟神社は、日本書紀にて、伊邪那美神が埋葬された地と伝えれています。それが、紀伊国の有馬村という場所で、その比定された場所に鎮座するのが、この花窟神社となります。
愛宕神社と秋葉神社
愛宕神社と秋葉神社は、火之迦具土神を祀る代表的な神社となります。特に、それぞれの本社と言われる京都府の愛宕神社と静岡県の秋葉山本宮秋葉神社上社は特に有名で、両社とも火之迦具土神を防火の神として祀っています。
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