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正月飾りと正月風習について
それでは、ここでは実際に、私たちのお正月習慣にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。多くにはそれぞれ意味や役割というものがあります。少しでも、その意味を理解して、楽しいお正月習慣をお迎え下さい。
 門松(かどまつ)
玄関先に左右一対で設置する正月飾りのひとつ。別名、松飾り。元々は、年神さまを自宅にお招きするための依り代を担う。古来、松には神が宿るといい、竹は長寿を意味する。設置時期は、
■12月10日〜13日頃:松の木採取(松迎え)
→12月20日〜28日頃:設置(本飾り)
→1月7日(松の内)か15日(小正月):撤去
一般的に29日(二重苦・苦松)、31日(一夜飾り)の設置は縁起上よろしくないとのことで避けられる傾向にある。
 注連飾り(しめかざり)
自宅に年神さまを迎えるにふさわしい神域を示す結界を表し、門松と同じく、玄関先の扉に設置する。別名、輪飾り、玉飾り。また、添えられるものにも意味があり、ユズリハの葉/ダイダイの実:家長繁栄・ウラジロの葉:長寿、清廉潔白などさまざま。設置時期は、門松に同じ。
■12月20日〜28日頃:設置
→1月7日(松の内)か15日(小正月):撤去
一般的に29日(二重苦・苦松)、31日(一夜飾り)の設置は縁起上よろしくないとのことで避けられる傾向にある。
 輪飾り(わかざり)
注連飾りと同じく、自宅に年神さまを迎えるにふさわしい神域を示す依り代となり、いわゆる、注連飾りの略式的なもの。ただし、飾り付けの場所は、台所やトイレといった水回りが中心となる。ちなみに、地域によって呼称が異なり、輪飾りが関東、輪締めが東海、ちょろが関西と言われる。設置時期は、門松・注連飾りに同じ。
■12月20日〜28日頃:設置
→1月7日(松の内)か15日(小正月):撤去
一般的に29日(二重苦・苦松)、31日(一夜飾り)の設置は縁起上よろしくないとのことで避けられる傾向にある。
 鏡餅(かがみもち)
年神さまに供える供物(くもつ)のひとつ。餅はそもそもハレの日に食す神聖な食べ物とされ、二段重ねという形状については、昔の鏡の形(八咫鏡)や人の心臓の形を示すなど諸説ある。設置時期は、これまた諸説はあるが、一般的には、
■12月28日(八:末広がり)
1月11日:鏡開き
とされる。
 お節料理(おせち)
こちらも、同じく、年神さまに供える供物(くもつ)のひとつ(神様の食事)で、「家族の繁栄を願う縁起物」とされる。元々は節供料理と言われ、節句の日に神前に備えられた料理が江戸中期以降に庶民に広まったものとされる。以下は参考まで。
一の重:口取り(かまぼこ・きんとん・伊達巻き等)
二の重:焼き物(ブリの照り焼き・イカの松風焼き等)
三の重:煮物(レンコン・里芋・高野豆腐等)
四の重:酢の物(紅白なます・酢レンコン等)
 大掃除(おおそうじ)
年末に行うかつては、「煤払い(すすばらい)」と呼ばれ、一年の汚れを綺麗に流し、翌年に備える行為。昔から「年神さまは、汚いところにはお越しにならない」と言われており、江戸時代までは、丁稚(でっち)と呼ばれる住み込み労働者を実家に帰省させる配慮から、当時は、旧暦12月13日に行われた。一部では、大掃除は、神棚や仏壇から始めるとされる。
 年越し蕎麦(としこしそば)
12月31日の除夜に、末永い健康を願って蕎麦を食す習慣。その意味や由来には諸説あるが、一部では、蕎麦を来年に持ち越すことは、金運が低下することからNGとしているところもある。これは、昔、金箔職人の年末の仕事納めに、そば粉で金箔のかけらを集めたことに由来すると言われ、蕎麦=金を集めると転じたとされる。この他、元々、「三十日蕎麦」と言って毎月30日に食べていた習慣が年末だけ残ったという説もある。
 お雑煮(おぞうに)
年神さまに供える供物(くもつ)であるお餅を神棚より下し、食す行為で、室町時代に始まったと伝えられる。また、関東と関西では、味付けや形式が若干異なり、関東では、醤油仕立ての切り餅(角餅)を用い、関西では、白みそ仕立ての丸餅を用いると言われている。当時は、これによって、餅に宿った年神さまの神霊を体内に取り込むことで合一化され、一年の健康を願った。
 お年玉(おとしだま)
お年玉は、本来、供えた餅(丸餅)を年少者に分け与えたことに始まったとされる。「お年玉」と呼ばれるのも、餅に年神さまの魂が宿ることから、「大年神の魂」が転じたものと伝えられる。お年玉とは、その年神さまの魂を分ける行為になる。また、一般的には、自分より年齢/地位の低い者へ与えることをお年玉、自分より年齢/地位が高い者へ与えることをお年賀という。
 若水(わかみず)
年神さまにお供えするお水のことで、元旦の最初に汲む水を意味する。元々、立春の日には、宮中の主水司(しゅすいし:宮内省の水・氷の調達役)から天皇に奉じた水の元を意味しているとされる。また、この若水取りには、可能な限り遠方のお水が良いとされたり、汲みに行く際には、誰にあっても会話をすることは厳禁とされるなど、独特のルールがみられたという。そんな若水には、お雑煮に利用したり、飲料すれば、一年の邪気が祓われると考えられていた。
 初詣(はつもうで)
年明けに、一年の感謝や新年の平安を祈願するために神社や寺院に参拝する行為で、元々は、家長が代表して、氏神さまに大晦日の夜から元旦早朝まで氏神神社に籠る「初籠り(はつごもり)」に由来するとされ、本来の主旨で言えば、初詣とは、氏神さまへの新年挨拶ということになる。また、この初詣には、その年の方位から詣でるという恵方参りという考え方もある。
 初夢(はつゆめ)
元旦ではなく、二日に見る夢のことで、その年の運勢を占うとされた。元々の初夢信仰は中国が発祥とされ、その日付も節分の夜にみる夢のことだとされる。室町時代には、宝船の絵を枕元に差し込むと良いとされ、東京都文京区の嬬恋神社では、初夢用に「夢枕」と呼ばれる縁起物を授かることが出来る。ちなみに、「一、富士、二、鷹、三、茄子・・・」とは、徳川家康公の成功にあやかった言葉で、全てが家康公の出身地(駿河)の名産と言われている。
 書き初め(かきぞめ)
別名、吉書(きっしょ)、試筆(しひつ)、初硯(はつすずり)などとも呼ばれ、元々、1月2日に一年の抱負や目標を恵方(縁起の良い方向)に向かって毛筆でしたためる行いで、本来は、宮中行事となる。これが江戸時代に庶民にも伝播したのが、この書き初めといわれる。
 七草粥(ななくさがゆ)
新年の1月7日朝に、七草粥を食す習慣。元々は、中国の官吏昇進日に立身出世を願って食していた習慣に基づく。日本では平安時代に宮中行事として習慣化し、現在では、七草がゆを食すと一年間健康に過ごすことができると言われている。伊勢神宮では、7日に内宮/外宮で若菜のかゆをお供えする習慣が残っている。七草とは、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(大根)が一般的な七草と言われる。文化的には、この日を以て、お正月習慣(休み)は終わる。
 鏡開き(かがみびらき)
1月11日に、正月に供えていた鏡餅を下し、食べる行事。ただし、鏡餅を切るにあたっては、神さまが刃物を嫌うとの理由で、包丁などの刃物を使ってはいけないとされている。また、かつては、この日は、20日に行われてきたが、江戸時代に、その日が徳川家光公の忌日にあたるため、11日に変更となった経緯がある。
 どんと焼き(どんとやき)
1月14日または15日に、お供えした注連飾りや書き初めを持ち寄って焼く神事で、その火で焼いた餅を食べたり、残った灰を家の周囲にまくと良いとされる。これにて、小正月は終わりを迎え、一通りの正月習慣はここですべて完結する。
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