この度、6月23日、24日で一泊二日の「磯部の御神田見学ツアー」を少数限定で企画させて頂きました。お伊勢さんに来るのも本当一年ぶりくらいですが、やはりいいもんですね。前回はちょうど、外宮のお社が解体される直前、その内側を拝観させて頂けるとのことで伺わせて頂いたのですが、今回きれいさっぱいり更地になっていたので、やはりそれなりの時の流れを感じております。初日は、外宮、内宮と参拝し、内宮は毎度恒例、大々神楽奉納をさせていただき、御垣内参拝をさせて頂きました。ただ、遷宮祭も終わったというのもあって、参拝者の数は大分落ち着いていましたね。個人的にはこれくらいの方がちょうどいいのですが、改めて、一昨年の様子はまさに「熱狂的」と言わんばかりの人出であったと痛感しております。その後は、志摩市へとバス移動をし、うなぎ屋さんで食事を取りながら、私の方で小さな事前勉強会を主催。二日目の昨日、いよいよ本番ということで、「磯部の御神田」を見てまいりました。メディアさんも沢山きておりましたが、いや〜、ものすごく興味深い内容で、面白かったです。こちら毎年6月24日に行われるのですが、この日に迎えられるのも、「七本鮫」と呼ばれる地元の伝承にもとづいておりまして、「かつて、七匹の鮫が倭姫命に伊雑宮の鎮座地を示したといい、以来、この日に七匹の鮫が野川をさかのぼり、当宮に参詣するようになった」ため、行われているようです。しかも、伊雑宮は伊勢の神宮の別宮でありながらも、その神宝の中に「玉手箱」もあるといい、浦島伝説とも密接なつながりあるとされ、このため、こちらの神事は、皇室より幣帛を賜る国家的神事でありながらもどこか土着的な信仰も併せ持つ非常に稀有な神事となっております。そのためか、こちらの神事は、いい意味でその進行がゆる〜く(笑)、荒々しい場面が多数見られました。そんなハイライトの一つが、「竹取神事」と呼ばれるもので、男衆が田んぼの中を泥まみれになりながら、田の神さまを起こし、「太一」と描かれた忌竹を引き落とし、そのウチワに描かれた「帆掛け舟」の絵を破り取ることで、「豊漁」「航海安全」のご利益を願います。そして、これをお守りにするため、漁師が数多く参加され、この日は漁師や海女さんは皆さん休漁する習わしになっているようです。ここでも農業的意味合いと漁業的意味合いが加わる不思議な習わしが見られるのですが、実は、今回、この「竹取神事」で物凄い珍事が起こりました。通常、この忌竹は田んぼ中に引き倒されるのですが、突風に煽られ、忌竹が後ろに倒れてしまった(笑)。まぁ、正確にはギリギリで皆さん踏ん張って地面に倒れてしまうのを防いでおりましたが、後々、地元の方にお話を伺っても、「40年やっているけど、こんなのは初めてだよ(笑)」といい、まぁ、それだけ今年の神さまには力があったということなのでしょう。ちょうど、志摩は来年のサミットの会場にも決まりましたしね。そういう意味では、記憶に残る非常に貴重な光景を目にすることが出来ました。まぁ、実際には物凄い怒声が飛んでましたけどね(笑)。そして、幸いにも私もその忌竹の一部と泥まみれのウチワの一部を頂くことができました。本来は、この男衆しか頂けないものなのですが、かつてない一番風を起こした力強いお守りですからね。私もこちらを大切にお祀りしておきたいと思います。その後、こちら本番となります「磯部の御神田」神事が行われ、私も貴重な経験をさせて頂きました。早乙女と呼ばれる女の子たちも可愛かったですが(笑)、太鼓役の女の子も実は男の子が女装したもので、こちらも非常に可愛らしかったですね。ということで、1000年以上続く伝統行事というのは非常に貴重なことだと思います。参加している子どもたちも地域ごとの7年のローテーションとのことなので、その伝承が結構大変のようですが、こうした神事の素晴らしさはもっともっと多くの方に経験頂ければなぁと思いつつ、竹取神事の男衆は事前申込があれば誰でも参加できるそうなので、ご興味のある方は是非来年挑戦してみては如何でしょうか!相当泥まみれになりますが(笑)。また、今回は席上の関係で少数企画で臨みましたが、今年は神社ツアーを何本か企画して参りたいと思いますので、その際はよろしくお願い致します。