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TOP>> 神社のススメ >> 鳥居について
鳥居は、『神域と人間が住む俗界を区画するもの(結界)』で、神域への入口を示す、一種の「」を役割を果たしています。

その為、本来、参拝する際は、『鳥居をくぐる前に一礼し、帰りの際も鳥居をくぐってから、振り向いて再び一礼する』ことがひとつのマナーと言われております。

ただし、中には沢山の鳥居のある神社も少なくありません。その場合は、手水舎に近いものの前で一礼をします。理由は、手水舎は「ケガレ」を払う場所であるため、より神域に近い場所とされるためとも言われます。
鳥居の由来について
鳥居の由来には諸説あり、「古事記」の「天岩戸伝承」で、天照大神(あまてらすおおみかみ)を天岩戸から誘い出すために鳴かせた「常世の長鳴鳥」(鶏)にちなみ、『神前に鶏の止まり木を置いた』ことに始まるとする説や、インド仏教にみられる「トラナ」と呼ばれる門や中国にみられる建築シンボルの一つである「華表(かひょう)」、そして、「牌楼(ぱいろう)」と呼ばれる門のほか、朝鮮の「紅箭門(こうぜんもん)」といった海外の建築物にその起源を求める説があります。
鳥居の語源について
この語源も諸説あり、

[1]「鶏の止まり木」を意味する「鶏居」を語源とする説
[2]「とおりいる(通り入る)」という言葉が転じたとする説
[3]「トラナ」を漢字から借音し表記したとする説

など様々あります。写真は、実際に鶏が木の上に止まっている姿で名古屋市の熱田神宮で見られました。
鳥居の各部位の名称について
鳥居の各部位の名称はおおよそ下図の通りとなります。中には、この貫(ぬき)が柱を突き抜けた部分を以って、「木鼻(きばな)」と説明されているものもありますが、「木鼻」は原則、仏教・禅宗に用いられる建築用語のため、ここではあえて明記しておりません。

また、柱の一番下の土台石を「台石(だいいし)」と言い、その上部で補強されている部分を「根巻(ねまき)」または「藁座(わらざ)」と言います。対して、この台座が饅頭のように丸みを帯びたものを「亀腹(かめばら)」もしくは、見た目の名の通り「饅頭(まんじゅう)」と言います。
鳥居の形式について
鳥居の形式は、大別すると、2種類の形式に分類されます。
神明鳥居(しんめいとりい)

Simpe is the Best!
非常に簡易な構造が特徴的で、最上部が「笠木(かさぎ)」一本で成り立っております(「島木(しまぎ)」がありません)。そして、一般的には直線・直角的なフォルムを採っており、笠木・貫・柱のいずれも円形のものを使用されることが多いです。
明神鳥居(みょうじんとりい)

Stylish & Decorated!
非常に装飾的な構造を採っており、最上部が笠木と島木から成る二層構造を採っております。また、笠木の両端が反り上がった(これを反り増しと言います)、流線的なフォルムを採ることが多く、中央に「額束(がくつか)」などの社名が示されていることがよくあります。
「鳥居」は基本この二種類に大別され、各部位の作りの違いで更に細かく分類されることになります。また、その傾向として、「神明鳥居」は柱が地面に対して直角に、流線的な「明神鳥居」は一定の角度を伴ったものが多く、この角度を伴った部分を「転び」と言います。

そんな鳥居は基本その些細な形状の違いから一定の形式に分類されますが、どの神社にどの形式が採用されるかということについては、山王鳥居が日枝神社(山王神社、日吉神社)系列にしか見られないといった一部の例外を除いて明確な決まりはありません。
神明鳥居について
■神明鳥居(しんめいとりい)
もっともシンプルな作りで、こちらが神明鳥居の基本的な型となります。原則、笠木・貫・柱のすべてが円形のもので構成されており、貫も柱の外を突き出ておりません。

■黒木鳥居(くろきとりい)
基本形式は「神明鳥居」と違いはありませんが、材質が樹皮のついた生木を使用していることから「黒木鳥居」と呼ばれます。対して、材質が樹皮をはいだ白木を使用した場合はそのまま「白木鳥居(しらきとりい)」と言います。

■靖国鳥居(やすくにとりい)
こちらはその名の通り、靖国神社で見られることから「靖国鳥居」と呼ばれ、貫が円形ではなく四角の形状のものとなり、柱の外を突き出ていないのが特徴です。こちらは靖国神社を代表するように護国神社系によく見られると言います。

■鹿島鳥居(かしまとりい)
その名の通り、鹿島神宮で見られることから「鹿島鳥居」と言い、「靖国鳥居」と同様に貫は四角形ですが、柱の外に突き出る構造を取っています。また、笠木の両端が襷墨(たすきずみ)と呼ばれる斜め下に切り落とされる構造を取っており、額束はついていません。こちらに額束がつくと、「宗忠鳥居」と呼ばれます。

■伊勢鳥居(いせとりい)
その名の通り、伊勢神宮で見られることから「伊勢鳥居」と呼び、貫が四角形で柱を突き抜け出ない構図は靖国鳥居と同じですが、笠木が五角形というのが特徴的で両端が襷墨となっている点は「靖国鳥居」と異なります。

■内宮源鳥居(ないくうげんとりい)
伊勢鳥居の変形とされ、伊勢鳥居の柱が円柱なのに対し、こちらは八角形の柱をしているのが特徴。それ以外は伊勢鳥居と基本同じなため、笠木も五角形の形を採っている。

■外宮宗鳥居(げくうそうとりい)
こちらも伊勢鳥居の変形とされ、通常、神明系にはない島木が付加されたもので、その点では明神鳥居との中間に近いと言えます。こちらはその名の通り、伊勢の外宮に見られ、柱は円柱状もあれば、八角形のものもある。ただし、内宮源鳥居 と外宮宗鳥居が混同されている場合もあり、明確な定義は定かではありません。
■神明鳥居一覧比較表
鳥居の種類笠木の形笠木の両端貫の形貫の突き抜け額束その他特徴
神明鳥居円形垂直円形なしなし特になし
黒木鳥居円形垂直円形なしなし樹皮付き生木
白木鳥居円形垂直円形なしなし樹皮なし生木
靖国鳥居円形垂直四角形なしなし特になし
鹿島鳥居円形襷墨四角形ありなし特になし
宗忠鳥居円形襷墨四角形ありあり特になし
伊勢鳥居五角形襷墨四角形なしなし特になし
内宮源鳥居五角形襷墨四角形なしなし八角形柱
外宮宗鳥居五角形襷墨四角形なしなし島木あり
明神鳥居について
■明神鳥居(みょうじんとりい)
こちらがオーソドックスなもので「明神鳥居」を代表する形となります。まず、笠木に反り増しが入り、その両端は笠木・島木共に襷墨の形状を採っております。そして、貫は柱を突き出る形を採り、額束が入ることが多いためか、この様式では貫は総じて丸材ではなく角材が用いられます。

■八幡鳥居(はちまんとりい)
こちらは八幡神社で見られる鳥居で基本構成は明神鳥居と変わりませんが、笠木の両端が反らずに平坦な直線を描いております。しかし、これは前期型と呼ばれるもので、後期型はほぼ明神鳥居と同じで、島木の両端のみ襷墨ではなく垂直に切り落とされているくらいしか違いがありません。しかも、前期型のものは現在非常に数が少なく、ほとんど後期型しか残っておりません。

■春日鳥居(かすがとりい)
こちらもその名の通り、春日大社などで見られることから「春日鳥居」と言い、一見、八幡鳥居の前期型との違いがないように見えますが、島木の両端が襷墨ではなく、垂直になっております。逆に言えば、ここに笠木の反りが加われば、八幡鳥居の後期型と同じになります。

■台輪鳥居(だいわとりい)
こちらは稲荷系神社によく見られるもので、ぱっと見は明神鳥居と同じなのですが、島木と柱の接合部に「台輪(だいわ)」と呼ばれる輪が付いていることから「台輪鳥居」と呼ばれています。

■中山鳥居(なかやまとりい)
こちらもその名の通り、中山神社 で見られることから「中山鳥居」と呼ばれ、基本的な形状は明神鳥居と変わりませんが、貫が柱を突き出していない点が唯一異なります。

■住吉鳥居(すみよしとりい)
こちらは住吉大社で見られることから「住吉鳥居」と呼ばれ、基本的な形状は「明神鳥居」と変わりませんが、一番の違いは柱の形状が円ではなく四角い角柱を使用している点にあります。

■宇佐鳥居(うさとりい)
こちらもその名の通り、大分県の宇佐神宮で見られることから「宇佐鳥居」と呼ばれ、基本は「台輪鳥居」がベースになっております。もっとも分かりやすい違いとしては、額束がない点にあります。また、笠木・島木ともに全体的に曲線を描いている点は大きな特徴と言えます。

■山王鳥居(さんのうとりい)
こちらはその名の通り、日吉大社を始めとした日枝神社・日吉神社・山王神社などで見られることから「山王鳥居」と呼ばれ、笠木の上に山を模した合掌状の冠がつく独特の装飾が施されている点が大きく違います。こちらはいわゆる日吉神社系列にしかみられませんが、だからと言って、すべての日吉神社系列がこの形状を採っているという訳でもありません。

■両部鳥居(りょうぶとりい)
こちらは「台輪鳥居」の型を基本としておりますが、「控柱(ひかえばしら)」と呼ばれる補助が付いているところにその最大の特徴があります。代表的なものとしては、「厳島神社」の大鳥居が有名ですが、こちらは海面に漂う鳥居であるため、本来はそれを支える意味があったのかもしれません。また、こちらは別名「権現鳥居(ごんげん)」とも呼ばれています。

■奴禰鳥居(ぬねとりい)
こちらも「台輪鳥居」の型を基本としておりますが、島木と貫のちょうど間、額束の付近に「扠首棹(さすさお)」と呼ばれる支えがついてるのが唯一の特徴となっております。

■三輪鳥居(みわとりい)
こちらは「明神鳥居」を基本としたながらもその両端に「脇鳥居(わきとりい)」と呼ばれる小さな鳥居にも似た入り口をそれぞれ設けております。この構造上の理由からか、柱には「転び」が比較的小さくなっております。

■三柱鳥居(みつばしらとりい)
鳥居を三基組み合わせたもので、三本の八角形の柱を以て全体的に三角形の構造を採っている。貫は外に突き出していません。

■唐破風鳥居(からはふとりい)
笠木・島木の中央部分が盛り上がっているのが最大の特徴的で通常、柱に転びがありません。
■明神鳥居一覧比較表
鳥居の種類反り増し島木の両端貫の突き抜け額束その他特徴代表的神社
神明鳥居あり襷墨ありあり
八幡鳥居(前期型)なし襷墨ありあり世田谷八幡神社(東京都)
八幡鳥居(後期型)あり垂直ありあり
春日鳥居なし垂直ありなし春日大社(奈良県)
台輪鳥居あり襷墨ありあり 台輪伏見稲荷大社(京都府)
中山鳥居あり襷墨なしあり中山神社(埼玉県)
住吉鳥居あり垂直ありあり角柱住吉大社(大阪府)
宇佐鳥居あり襷墨ありなし台輪宇佐神宮(大分県)
山王鳥居あり襷墨ありなし合掌の冠日吉大社(滋賀県)
両部鳥居あり襷墨ありあり台輪・控柱厳島神社(広島県)
奴禰鳥居あり襷墨ありあり台輪・扠首棹厳島神社(広島県)
三輪鳥居あり襷墨ありあり脇鳥居大神神社(奈良県)
三柱鳥居なし垂直なしなし三本柱木嶋神社(京都府)
唐破風鳥居あり垂直ありあり唐破風厳島神社(京都府)
鳥居に関する豆知識
「鳥居」の数え方は、「1基2基3基」と数えます。
本殿から一番外側の鳥居を「一の鳥居」と呼び、近づくにつれ、「二の鳥居」、「三の鳥居」と呼びます。
日本最多の鳥居数(約1万基以上 ):伏見稲荷大社(京都府)の千本鳥居
日本最古の石鳥居:元木の石鳥居(山形県山形市)/平安時代に建立?
日本を代表する鳥居の数々
熊野本宮大社(和歌山県和歌山市)
鉄筋コンクリート製・高さ33.9m・平成11年(1999年)建造。
日本最大の鳥居!
大神神社(奈良県桜井市)
耐候性鋼板・高さ32.2m・昭和61年(1986年)建造。
総重量180トンの耐候性鋼板で出来ており、1300年の耐久性があるとされ、マグニチュード10の地震にも耐えられる構造となっているといいます。
弥彦神社(新潟県西蒲原郡弥彦村)
耐候性特殊鋼製・高さ30.16m・昭和57年(1982年)建造。
上越新幹線開通を記念して建造され、建造当初は日本一の大きさを誇っており、額束は畳12枚分にも及びます。
鹿嶋神社(兵庫県高砂市)
チタン製・高さ26m・平成9年(1997年)建造。
こちらはチタン材を駆使した鳥居とされ、耐久性も1500年を数えると言われています。
靖国神社(東京都千代田区)
耐候性鋼板・高さ25m・大正10年(1921年)建造。
総重量100トンの耐候性鋼板で出来ており、表面はサビの色で覆われています。また、こちらの第二鳥居は青銅製でできており、青銅製としては日本一の規模を誇っています。
平安神宮(京都府京都市左京区)
鉄筋コンクリート製・高さ24.4m・昭和3年(1928年)建造。
昭和天皇の御大礼の記念事業として建設されました。
自凝島神社(おのころ島)神社(兵庫県三原町)
鉄筋コンクリート製・高さ21.7m・昭和57年(1982年)建造。
北口本宮冨士浅間神社(山梨県富士吉田市)
木造両部鳥居・高さ18m・昭和29年(1954年)建造。
木造の鳥居としては日本最大を誇るとされます。
厳島神社(広島県廿日市市)
木造両部鳥居・高さ16.6m・明治8年(1875年)建造。
日本三大鳥居の一つに数えられ、主柱には楠の自然木を使用し、控柱には杉を使用しています。
茅部神社(岡山県真庭市)
石製明神鳥居・高さ13m・文久3年(1863年)建造。
石鳥居としては日本一の規模を誇ります。
明治神宮(東京都渋谷区)
木造明神鳥居・高さ12m・昭和50年(1975年)建造。
明治神宮の第二鳥居で木造の明神鳥居としては国内最大を誇るとされます。
氣比神宮(福井県敦賀市)
木造朱塗の両部鳥居・高さ10.93m・正保2年(1645年)建造。
日本三大鳥居の一つに数えられると言います。
春日大社(奈良県奈良市)
木造朱塗の八幡後期型の鳥居・高さ6.75m・寛永11年(1638年)建造。
春日大社の一の鳥居で日本三大鳥居の一つに数えられると言います。
六所神社(福岡県筑後市)
石製明神鳥居
こちら境内社となる粟島神社にある鳥居は日本一小さな鳥居とも言われてます。
その他変わった鳥居について
石切劔箭神社 烏森神社 金色鳥居:黄金山神社 桃型鳥居:桃太郎神社
竹製鳥居:伏見神宝神社 装飾系:虎ノ門金刀比羅宮 北谷稲荷神社
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