昔から夏や秋に多くの出店で賑わった季節的な風物詩として人気の日本のお祭り。最近は、氏子の減少などもあって、存続の危機を迎える祭りも少なくありません。本来であれば、日本人の生活習慣の中に最も身近に存在したであろう日本のお祭りについて、少し振り返ってみたいと思います。 |
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日本の風物詩、それがお祭り! |
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本来「お祭り」とは、「五穀豊穣や豊漁、安寧、繁栄などを祈願したり、感謝するために様々な奉納を通じて神仏をお迎えする」もので日本古来の伝統的習慣になります。そもそも年間の特別休日も「公休日」ではなく「祝祭日」と呼ぶのも、こうした神事と深い関係にあることの表れと言えます。
実際、「春分の日」や「秋分の日」、「勤労感謝の日」などは、代表的な「祭日」と呼べるものになりますが、日本人の多くは「お休み」という認識はあっても「祭りの日」という認識はほとんどないでしょう。「勤労感謝の日」などは「新嘗祭(にいなめさい)」といって、新穀に感謝する日として多くの神社では新嘗祭が行われておりますが、やはり、これを知る人はあまり多くはありません。他方、ケルト民族の五穀豊穣の儀式とされるハロウィーンには厚い注目や関心が寄せられるだけにこれは少々残念な傾向と言えるのではないでしょうか。
ということで、多くの神社には必ずと言っていいほど「お祭り」というものがあり、年に一度は「例祭(れいさい)」と言って、定例化された祭祀習慣が見られます。是非、そのあたりをイメージしながら、国内で執り行われる「お祭り」の数々にも目を向けていきましょう。 | |
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1年を巡るお祭りの数々 |
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まずは、神社で行われる「お祭り」について、通年で見られる代表的なものをみてみたいと思います。これらの多くは、いわゆる一般に見られるお祭りのイメージとは大きく異なり、粛々と執り行われるものが大半ですが、いわゆる「例祭」と呼ばれるものが「夏祭り」や「秋祭り」といったものに含まれることが多々有ります。ただし、例外も多いので、こちらはあくまで神社で行われる一般的な通年祭祀という程度でご参照ください。
[主な通年祭祀] | | |
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| 祭祀名 | | 時期 | | 主な内容 |
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| 歳旦祭(さいたんさい)/元旦祭(がんたんさい) | | 1月1日 | | 年始を祝う祭り |
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| 元始祭(げんしさい) | | 1月3日 | | 宮中祭祀の一つで皇位の始まりを祝う祭り |
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| 祈念祭(きねんさい) | | 2月 | | 1年の五穀豊穣を祈る祭り(新嘗祭の対) |
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| 節分祭(せつぶんさい) | | 2月4日前後 | | 節分の厄除けを行う祭り |
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| 初午祭(はつうまさい) | | 2月の初午 | | お稲荷さん系の豊作祈願の祭り |
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| 紀元祭(きげんさい) | | 2月11日 | | 国の創始(神武天皇の即位)を祝う祭り |
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| 春季例祭(しゅんきれいさい) | | 4月・5月 | | 一年の五穀豊穣を祈念する祭り |
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| 夏越大祓(なつごえのおおばらい) | | 6月30日 | | 万民の罪・穢れを祓う日 |
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| 秋季例祭(しゅうきれいさい) | | 10月・11月 | | 一年の五穀豊穣に感謝する祭り |
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| 新嘗祭(にいなめさい) | | 11月23日 | | 1年の新穀に感謝をする祭り |
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| 天長祭(てんちょうさい) | | 12月23日 | | 今上天皇の誕生日を祝う祭り |
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| 年越大祓(としごえのおおばらい) | | 12月31日 | | 万民の罪・穢れを祓う儀式 |
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| 除夜祭(じょやさい) | | 12月31日 | | 1年の無事を感謝し来年の安全を祈る祭り |
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お祭りの風物詩 |
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お祭りと言えば、神輿(みこし)と山車(だし)。一般には、神輿は、「みこし」と呼ばれますが、専門的には「しんよ」と言います。では、これら神輿や山車は何のためにあるのでしょうか。 |
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神輿は、氏子たちの手によって、その姿を御神体や依り代に移され、氏子地域にある御旅所(おたびしょ)や元宮などを練り歩く際の乗り物として用いられました(この一連の行為を神幸(しんこう)/神幸祭と言います)。元々、神輿の「輿」とは位の高い高貴な方の乗り物のことで、そこに、神霊を奉安(ほうあん)します。
その起源についてはよく分かりませんが、天平勝宝元年(749年)、宇佐の八幡神が東大寺大仏建立の手助けの際に(八幡神社系列社参照)、「紫色の輿が神さまの遷座に用いられた」とあり、宇佐神宮ではこれを神輿の始まりとしております。そう考えると神輿は本来恐れ多いもので、最近では、神輿の上に人が乗る行為を禁止している地域もあるようです。 | | |
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| | 山車(だし)は神輿と同じく、神さまをお招きして氏子地域を練り歩くものになり、元々は、読んで字の如く、山岳を模した山(やま)と呼ばれる依り代に基づいています。そして、大嘗祭で用いられる標山(しるしやま)と呼ばれる移動神座がその原型とされてきました。
その重さは、数トン以上あるとされ、数十人がその山車を曳く姿もあって、一部には、曳山(ひきやま)とも呼ばれ、中には、山鉾(やまぼこ)と言って山車のてっぺんに尖りがついたものなどもあります。この他、地域によってその呼び名も実に様々で、大阪の「だんじり(地車)」、福岡の「山笠(やまかさ)」も同じものを意味します。 |
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日本のさまざまな三大祭 |
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